ニーズがますます複雑化している現代の市場において、売り手側が一方的な売り込みをするだけの商談は、なかなかうまくいきません。セールス(営業)マン特集Part3 では、「信頼関係を構築する「質問」のスキル」をテーマに、いくつかのフレームワークを紹介します。
顧客とのコミュニケーションセールスには、その顧客と向き合い、潜在的なニーズを明確化する力が必要です。顧客の真のニーズを理解し、それに対応する商品やサービスを提案することが重要です。 そこで、まずはそのようなコミュニケーション力を高めるために、“SPIN話法” についてご紹介いたします。
SPIN話法:質問のスキル
SPIN話法は「ヒアリング力」を高めるスキルです。
顧客のニーズを的確にくみ取るためのヒアリング力は営業(セールス)マンにとって欠かせないスキルです。顧客の潜在ニーズを顕在化させ、商談の成約だけでなく、信頼関係の構築まで導いていく「質問のスキル」です。
SPIN話法は、顧客の潜在ニーズを引き出し、顕在化させていくヒアリングのフレームワークです。
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SPIN話法の目的(4つの質問)
S : Situation Questions 状況質問 :顧客の状況を把握する
P : Problem Questions 問題質問 :顧客に問題を気付かせる
I : Implication Questions 示唆質問 :問題の重要性を認識させる
N : Need-Payoff Questions 解決質問:理想のあるべき状態をイメージさせる
※ SPIN話法は事前に入手した情報を基に仮説を立て、質問によって検証する手法
Situation Questions :状況質問
ニーズの糸口となる、お客様の事実状況などを聞き出す質問。お客様の置かれている仕事環境や業務活動、背景、実情を明らかにしていく。
【ポイントは】
・事実状況(特に提案したいソリューション周り)だけを聞く質問を多用したり、しつこくやりすぎるとお客様は退屈したり、逆に反感を覚えたりする場合もあるため、お客様の「考え方」「意見」を聞く質問を交え展開する。
・単発的な(シナリオがない)訊問調は避ける。
※ オープンクエスチョンを多用し、より多くの情報を入手する。気になったポイントがあれば、さらに掘り下げる。
■ 困りごとの読み/予測
状況質問から聞き出した情報を整理し、お客様が「何に」困っているかを
予想する。「○○○な事に、困っているはずだ!!」 Problem Questions(問題質問)を投げかける前に、収集した情報を整理する。
【以下のような内容】
・業種、業態、業務内容
・提供する(したい)ソリューション周辺
・業務の流れ、発注等について
・方針、スローガン
スローガンに挙がっていたが、何かを改善する?したい?
次に、自社が提供したいソリューションで、これらが解決できる状況を書き出す。
Problem Questions:問題質問
先様は(自社の提供したい)ソリューションで解決できる状況にあっても、提供したいソリューションは持っていません。
という事は、解決できる状況が、困りごとに通じるということです。
(すべてが合致するという事ではありません。ターゲティングで絞り込む。)
困りごとの予測は、ソリューションで解決できる「○○○○で困っているはずだ」できるだけ、状況質問で収集した情報で、困り事を予測する。
困り事の複数の予測から、問題質問を考える。「○○○○○で、お困りになったことはございませんか」「現状は△△△と仰っていましたが、○○〇でお困りになった事はございませんか」
※ 前提としては、ターゲティングした顧客は、自社が提供するソリューションで解決できるポイントがある。ニーズがあるということ。
■ 問題質問の留意点
・ 現状の満足度を聞いてから → 問題質問をする
・ 他社事例から御社ではこういった事でお困りになっていないか?
→ 第三者トーク 「○○○ですよね」「○○○でしょう」というような
断定・決めつけ口調はNG
※ お客様が表明したニーズをより明確にするためにも、お客様が一度口にしたことを、具体的に話してもらう。詳細に説明してもらう
例えば:
・ それは、どうしてですか?
・ その件について、もう少し聞かせて頂けますか? とか
※ たとえ「たしかに○○○○で困っているよ」という返答があったとしても、未だ「潜在ニーズ」と認識すること。焦って売り込まない!
Implication Questions:示唆質問
お客様が表明した、それほど重要と感じていない問題が、他の問題を発生させたり、近い将来、又は他部門にどう影響するかを聞く質問です。
→ 問題の重要性に気付いてもらう!!
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【ネガティブ】+【ネガティブ】を組み合わせた質問
【お客様が表明した問題:○○○○】
↓
【その問題によって引き起こされる更なる問題】
■ 示唆質問の事例
・○○○の問題は、関連部署の方で新たに△△△等のような問題を引き起こすと お考えになったことは、ございませんか。
・これが影響を与え新たに○○○が滞ると、お考えになった事はございませんか。
■ 質問の流れは:
営業(セールス)マンの問題質問
↓
お客様は潜在ニーズを表明 ※ここでも潜在ニーズ
↓
【示唆質問】 お客様が表明した潜在ニーズが、別の問題に波及するのでは?と、考え(気付き)質問する
↓
【お客様】(お客様は問題の重要性を認識する)うん・・・嫌な事言うな・・・あの部署は弊社の要だし、会社全体にも影響があるかもしれないし・・・まずいな。
■ 示唆質問の留意点:
・別に波及する問題が「全くその通り!」「これは大変なことだ!」と、思えば思うほどOK
・かなりお客様の立ち入った状況にフォーカスして行かざる得ないので、余り立て続けに捲し立てた質問はNG(人間関係の構築が必要)
・こちらが解決できない問題、機密性の高い分野への波及はNG
・問題質問と同様で、決めつけて質問するのではなく、相手が答え易いように工夫する。
Need-Payoff Questions:解決質問
問題が解決されたときに得られる、望ましい状況について聞く質問。
お客様に問題解決によって得られる有益性や、重要性を認識してもらい、
明確な解決の 願望/必要性(顕在ニーズ)を表明するよう促す質問。
■ 解決質問の留意点
・ お客様に問題解決したいと思って頂くためにも、お客様が有益な点を
見つけられるように表現を工夫する
・ お客様が問題解決した時のイメージが頭の中に絵になるように、
具体的に表現する。
・ 解決質問は、プレゼン(問題解決提案)ではない。あくまでもお客様に、
顕在ニーズを表明してもらう質問のスキルです。自然な口調で!
【解決質問の事例】
あ!そうなんですね。▲▲部長、ご安心ください。〇〇〇の問題も、□□□で解決でき、△△△部署にも影響もなく、更にはサービス強化につながり顧客満足度も上がるという事を、お考えになったことはございませんか。
お客様:
そうか!影響もなく更に、CS(顧客満足度)も上がるんだね・・・。改めて考えると凄いことだ。私はどうすれば良いんだい、すぐに提案してください!!
◇◆ くれぐれも・・・ ◆◇
スキルは頭で身につけるモノではありません。
身に付ける条件は:
・ 熟練トレーナーのもとで
・ 基本トレーニングを受け(複数人以上で)
・ 少なくとも1week or 2week に1回以上は、ロールプレイングを中心に
トレーニングを続ける。
私でも、都度ごと「頭で考えて」少しは「できる」ようになるのに半年以上、身について普通にできるようになるまで2年かかっています。
まずは、基本トレーニングをお勧めいたします。