前回に続き、セールス(営業)マン特集 Part4 「クロージング」をお届けします。
2回目は『どのように「お客様の心配事」を解消するか』についてです。
お客様の心配事
お客様が異議を唱えたり「気がかりな点がある」と言ったりすることは、面談のどの段階でも起こります。お客様が心配を口にするのは、「ニーズ表現の一つの方法だ」と捉えることが大切です。
プレゼンテーションの後に出てくるお客様の心配事は、私たちの解決提案を理解しているが、意思決定に際しての「デメリット」が先にイメージされてしまうため、お客様は迷ってしまいます。
例えば、「良いのは分かるけど、失敗したらどうしよう」とか。従って、私たち営業マンはお客様の心配事に対して、恐れることなく、率直に対応することで、私たちの献身的な姿勢を伝えましょう。
心配事解消のスキル(1)
まず「心配事が何か分らない時は、確実に分るまで質問をして探る」
質問によって理解できること:
・不審の場合:お客様が、なぜ疑問を持ったのかが理解できる
・誤解の場合:お客様が、具体的に 「何を」「なぜ」必要としているのか
・不満の場合:私たちが満たせないニーズと、その裏側のニーズや個別の状況が理解できる
※ お客様が求めている特定の特徴や利点/利益を提供できなくても、なぜそれが重要かを理解できれば、対応を考えられる。
【 事例 】
お客様:「提案内容はよく分かりました。でも、少し気になる点がありましてね」
セールス:「そうですか。それはどのような点が気になっていますか?お聞かせください」
【 ポイントは 】
心配事解消のために、お客様に接する際の心構え
・積極的に対応する
・会話を促す努力をする
・お客様の考え、気持ちを尊重する
・結論を急がず、粘り強く取り組む
※ お客様と議論を闘うのではありません。お客様を論破するのでもありません。
例えば、「ああ言えば、こう言う」ではない
心配事解消のスキル(2)
■ 誤解の解消
先ずは:心配事を理解するための質問を実施する
どのタイミングで:営業(セールス)が伝えているメリット(ベネフィット)を、提供して貰えないのではないか、とお客様が訝しがっているのが明らかなとき
■ 具体的なスキルは
1.心配事を「ニーズ」に置き換え確認
↓ ↓ ↓
2.プレゼンの実施
・ニーズの受け止め
・関連する利点、利益の紹介
・合意の確認
例えば:
お客様は、デジタルプリントに次の特徴と利点があることを知りません。
特徴:デジタルプリント
利点:デジタル入稿のため、直前まで訂正・修正が可能
① 心配事をニーズに置き換え確認とは?
後ろ向きな言葉を「~したい」というニーズの表現に置き換えて確認する
以下で事例を説明します。
【事例】
お客様:「デジタルプリントシステムによって、在庫管理の心配をしなくてもよいという点は気に入りました。でも・・・デジタルプリントシステムには、心配な点があるんです。
うちは、部門毎にそれぞれ扱う商品が違うため、リーフレットの急な変更や修正に対応できないと、すべて私にクレームが入ってきます。只でさえ忙しいのに、その管理までとなると、私としては、頭が痛いです。」
営業マン:「なるほど・・・という事は、デジタルプリントシステムは印刷に入る間際(ギリギリ)まで、修正や変更に対応できるものでなければならないという事ですか?」
お客様:「そうです!それができればね」
② プレゼンの実施とは!?(FABE)
営業マン: ※ まずは<ニーズの受け止め> ※
「デジタルプリントシステムを検討されるときは、仕事の流れに細心の注意を配らなければならないのは、大変ですよね」
営業マン: ※ 次に<関連する利点、利益の紹介> ※
「ご安心ください。幸い、私どもがお勧めしておりますデジタルプリントシステムは、従来の印刷方式の版を作ってプリントする方式と異なり、デジタル入稿のため、間際までの訂正・修正が可能です。ですから、プリント直前の急な修正・変更にも対応できますので、他部門からのクレームに悩まされるといったお悩みからも解放されます」
営業マン: ※ 最後に<合意の確認> ※
「いかがでしょうか。納得(理解)頂けたでしょうか」
心配事解消のスキル(3)
【不審の解消とは】
先ずは:心配事を理解するための質問を実施する(くれぐれも自身の考えを押しつけない。思い込みを決めつけない)
どのタイミングで:ある特徴と利点/利益に対して、お客様が満足していないことが明らかなとき。
■ 具体的なスキルは
1.心配事の受け止め
2.より大きな視点に注目(もって行く)
3.受け入れられた利点・利益の重要性を強調
4.合意の確認
【事例】
お客様は次のような不満の言葉を表明しました
お客様:「確かに良いことは理解しました。しかし・・・・この見積り金額をもう少し考えてもらわないと」
※ 心配事の受け止め:
お客様の心配事を理解し尊重している姿勢をわかってもらう
営業マン:「そうですか。採用の際に少しでも費用を抑えたいということは、よくわかりました。私も○○様の立場なら、そう考えます」
※ より大きな視点に注目:
他のニーズも考慮した、全体像の中で、不満を引き起こしているニーズがどのくらい重要なものなのかを、お客様に考えてもらうために、少し話を戻して、大きな視点から見てもらうように促す。
営業マン:「それでは○○様よろしいですか。○○様から伺ったことを踏まえてご提案いたしました。新しいソリューションで今期の出費を抑えるコスト削減についてどうだったか、振り返ってみたいと思いますが、よろしいでしょうか?」
※ 受け入れられた利点・利益の重要性を強調:
私たちが満たせないニーズよりも、満たせるニーズの方がお客様にとって大きな意味があることを認識してもらう。
営業マン:「○○様、ちょっとよろしいですか・・・デジタルプリントシステムを採用した場合、今まで毎月発生していた、受付業務の管理、手配にかかるコスト、コールセンターのコストも大幅に削減できる点を話し合ってきました。更に、ターゲット・既存顧客とそれぞれの顧客が反応した内容を、リアルタイムでアプローチし、顧客の流出も防ぎ、新たなファンを獲得することができます。
営業マン:また、経費削減の効果も考慮頂くと、無駄な予算を使わずに大きな成果を得られることになります。」(FABE話法を使ってまとめる。)
※ 合意の確認:
お客様の不満が解消され、合意したかの確認
営業マン:「いかがでしょうか! これでしたら、お役に立てるのではないでしょうか!?」
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次回は、【クロージング】特集の最終回です。
「買い信号をキャッチ! 」「ゴール(契約)に進む」をテーマに説明いたします。